電界妖怪 〜マカフシギ〜 ①

そう言えばそんな話があったような。すっかり忘れていた。デンタの事で頭がいっぱいだったから。
そう言えば、デンタがしゃべれる事。智美ちゃんは信じてないみたいだから、言わないでおこう。たとえ言っても、空耳だって聞き流されそうだし。
「ごめん。すっかり忘れてた。」
私は時計を見ると、8時10分。いつも授業が始まるのは8時30分。あと10分だった。意外とこの10分が遅刻にとっては大事なのだ。
“キーン、コーン、カーン、コーン……”学校のチャイムが鳴った。
「やっべ」
ガラ!!勢いのある音が教室に響く。健輔君だ。
「セーフ!!」
他に3人と一緒…じゃなかった。武志君はもう、来ていたみたい。
「おい、武志、なんで、お前、早く来てるんだよ!」
「健輔、今日は特別だから10分早く始まるって先生が言ってたから、先に7時45分に空き地に待ってたのにさ。」
「え?だってそれは―――。」