電界妖怪 〜マカフシギ〜 ①

本当にデンタと別れるような事が起きたら、最後に何をしてあげたらいいのか。分からない。
「まあ、話戻そうか。黒い人のことだけど、こんな噂があるの。」
「――どんな?」
私は言った。
「[黒い人。実は人間らしいけど、本当は恐ろしい口裂け妖怪。人を噛みつき、人間を半分にする。決して近づいてはならない妖怪。]って市役所は脅してる、けど。」
「“けど”?“けど”って。」
「ただ、違う世界には行ってほしくないから、注意書として、呼び掛けている文章。」
「じゃあ、実際には何にもしてこない妖怪?」
私は智美ちゃんの方を振り返って言った。
「うん。そういうこと。まあ、子供にしたら、いい刺激かな?」
智美ちゃんは言った。刺激と言うよりは、子供に対しての怖い言葉?なのかな。私には刺激という言い方は、悪いと思ったが、智美ちゃんは急いでいる感じがしたから、やめた。