智美ちゃんが嬉しそうに言った。
「そ…そうかな?私は逆に変な感じがして嫌だけど。」
私は言った。確かに偉くなるのは気持ちいかも知れない。でも、本当は偉くない。私たちが偉くなる権利は全くない。なんかフジミさんって常識知らず?それとも常識無視?
「フフフ〜ン♪」
智美ちゃんはご機嫌で、敬礼しながら現場へと歩いていく。でも私は頭を下げながら歩いていく。ちょっと感じ悪い?



「ところで、物は?」
智美ちゃんが後ろを振り向き私に聞いた。
「あれ?どこだろう?こういうときは、」
私はすれ違った警察官に呼び止めて、
「あの、あの現場に物とか落ちてませんでしたか?」
私は手帳みたいなものを見せながら言った。
「何で敬語なんだ?」
と、警察官に言われた。
「へ?」
私は止まった。
「あの、なにか私物はなかった?」
智美ちゃんが切り替えて言った。