ていたのですが、ある一人の男の人が私を封印から解いて下さったのです。しかし、私に名前がないことを確認して、名前を付けてくれたのです。」
「それが…美代子。」
「はい。私は名前を付けてくれたことが、一番嬉しかったのです。」

僕は美代子さんを見てみた。そこには見たことがない笑顔だった。まるで嬉しそうに過ごしているように。「僕は何でこんなところに？」
「カギを見つけませんでしたか？」
ズバリと当てた能力に驚いた。何で知っているのか不思議だった。
僕は次々と変わっていく世界にみとれてしまい、話を忘れていた。
「あの…、どうなんですか？」
「あ。」
僕は話を忘れてしまったことが申し訳ないと心の底から、謝った。意味はあんまりないけど…。
「…知らない内に机の引き出しの中から突然カギが入ってあったのです。いつからあったのか分からなかったけど。」
「実は私が入れたのです。空間をつなげてあなたの所に。」
「何で急に僕の引き出しの中に入れようとしたのですか？」
「あなたに助けてほしかったからです。」
「確か、天空の島の封印を解いてほしいっていう願いでしたよね。」
僕は覚えている限り話した。今まで忘れようとしたけど。