「いや。何でもないよ。」
僕は自分の部屋に戻り考えてみた。何を忘れているのかを。
ふと借りてきた本を思い出した。
「そうだ。」
僕はやっと思い出したのだ。
その本を机に片付けようとして、中に入れようといたときふと何かを見付けた。
「カギだ。」
黄色いカギがあったのだ。しかし、いつそんなものを手に入れたのか分からなかったが、僕はあの本の最後のページにあった鍵穴にさしこんでみることにした。恐る恐る近づき、僕はピッタリと収まったカギをゆっくり回した。
その時。物凄い光が鍵穴から出てきて、僕を筒みこんでいく…。僕はカギをはずしてみた途端に鍵穴へと吸い込まれたのだ。
「うわーー。」
僕は悲鳴をあげながらどこに行くのか気になっていた。そういえば、お母さんはどうなったんだろう。僕を心配になって探さないだろうか。
「大丈夫。」
誰かの声が聞こえた。
「君はまさか…美代子さん?」
「そうです。」
やっぱり美代子さんだった。
「そうだ。美代子さんは元々人間の世界にいた人じゃないんですか?」
「私は妖精。でも人間の人につけてもらった名前なんです。私には名前がありませんでした。」

――――
「私は一人で過ごし