俺様プリンセス【BL】

 ふと、始まる前にヒメのバンドの話をしていた女の子達が目に入る。

 二人とも、何かを話しながら目元を指で拭っていた。


 俺までもらい泣きはしなかったけど、それでも、ヒメの歌がどれだけ凄いのか、良く理解[ワカ]る。


 ホールに明かりが灯ると、目元を赤くしたヒメが笑顔でマイクを握っていた。


「こんばんは、Luci[ルキ]です」


 少し鼻声になったヒメがそう口にすると、どこからともなく女の子がヒメの名前を呼んだ。

 はにかんだ笑みを浮かべたヒメは、声のした方に手を振る。


 いつものヒメだ。


 ふと俺は、そう思った。

 どんな服を着ても。

 どんなメイクをしても。

 ヒメは、ヒメなんだ。