何だか少しドキドキしながら、俺はライブハウスの前に立っていた。

 地下へと伸びる階段の所まで来ると、微かに音楽が聞こえる。

 携帯を開いて時計を確認すると、7時5分前だった。


『Club CRAZE』と書かれた扉を開けた途端に、重低音が響いてきた。


「こちらで受付お願いしまーす」


 パンキッシュな女の子の声に導かれるまま、俺はチケットを差し出す。


「ドリンク引換券無くさないでくださーい」


 おもちゃのコインみたいなものを貰って辺りをきょろきょろと見回してると、女の子が「奥の扉ですよー」とご丁寧に教えてくれた。