ヒメが部屋から出て行った後。

 俺は陣くんと二人で夜食を食べた。

 ヒメの分は、冷蔵庫にしまってある。

 財布も携帯も、何もかも置きっぱなしなんだ。

 戻ってこないことは無い、と思う。

 温めなおしたパスタを、陣くんは「美味しい」って言ってあっという間に平らげた。

 オーナーのソースは絶品で、本当に本当に美味しいんだけど。

 さっきの事が響いてるのか、俺の皿には半分以上パスタが残ってる。


「恭介さん」


 心配そうな陣くんの声に、俺は無理矢理笑顔を作った。