「バンドの練習なんだ」 「そっか」 バンドマンてのは大変だな。 こんな時間から集まるのかよ。 俺だったら無理だな。 そんな風に考えながらTVに見入っていると、パタン、と扉のしまる音が聞こえた。 ――鍵は掛けていかないのかよ! 空になった食器を台所に運ぶついでに、玄関の鍵を閉める。 ついクセでチェーンまで掛けてしまいそうになるのを、玄関に置かれたゴツいブーツを見て踏み止まった。