「別に……いいよ。ここで」 俺が悪者かよ!? ぷいっ、と、外方を向くヒメは、血色のいい唇を尖らせて不満顔。 俺より背が低い所為か、仕種によってはヒメが時々本当の女の子に見える自分が恨めしい。 「そうだ。コレ、やるから失くすなよ」 文句を言いながらも布団の感触を確かめているヒメに、俺はあの茶包みを渡した。 「何?」 「いや、流石に必要だと思って……。1週間後に返せよな」 コロン、と茶包みからヒメの手に落ちたのは、頭が長方形にデザインされた鍵。 正真正銘、俺んちの鍵だ。