――……ピピピ……。


 寝惚けながら手を伸ばして、携帯のアラームを切る。

 寝返りを打って、手に取った携帯を見ると『06:00』って表示が見えた。

 いつもと変わらない、金曜日の朝――のハズだった。


「…………っ!?」


 俺は、まだ夢でも見てるんだろうか。


 俺と向かい合わせに、金髪の美人が眠っている。


 長い睫毛と、薄めで形の良い赤い唇。

 白い肌に、細い指。


 首だけを動かすと、見慣れた天井とカーテン。

 間違いなく、俺の部屋。

 間違いなく、俺のベッド。


「……おかえり、ヒメ」


 そっと呟いて、まだブリーチの臭いが抜けていない髪に、指を絡ませた。


fin