「――お前みたいなヤツに出会ったの初めて。なんか、優しくされすぎて惚れそう」
 

 こつん、と、俺の肩に、額をつけてくる。


 行き場を失った俺の手が、空中で止まる。


「ひ、ヒメ!?」


 ヒメの言葉に動揺した俺は、どうしていいやら、何を言ったらいいやら……。


「ど……、どうしたんだよ。疲れてんのか?」

「……結構、本気なんだけど」


 おずおずと伸びてきたヒメの手が、空中で不自然に止まってる俺の手を掴んだ。

 ヒメの体温が、触れ合ったところから直に伝わってくる。

 温かな、手。

 俺よりも小さくて、少し骨張った華奢な手。


「恭介……」


 少し下から見上げられて、俺の鼓動が勝手に反応する。

 女の子みたいに長い睫毛と、綺麗な二重瞼の瞳。

 薄暗いからよく分からないけど、カラコンでも入れているのか、いつもと雰囲気が違う。