俺様プリンセス【BL】

「何だよ、それ」

「メイクにも歌にもびっくりしたんだよ。何て言うか、圧倒されてただ見てることしか出来なかった」


 俺が素直に感想を言うと、ヒメが満足そうに笑う。


「本当はさ、もう1曲歌うんだったんだよな……」


 足下の小石を蹴って、残念そうな声でヒメが呟く。


「恭介に、聞かせたかった」


 あんなことが無ければ、ヒメはもう1曲歌えて、ライブは大成功に終わっていた筈だ。

 あんなことをすれば、ライブが駄目になる可能性を、朧さんも分かっていた筈だよな。

 それなのに。

 どうして?

 ライブ中じゃなくたって、二人で話し合う時間はあっただろ?