俺様プリンセス【BL】

「――今日のライブ、俺が最近世話んなってるヤツが来てくれてて。ソイツ、今日生まれて初めてライブ参戦してんの」


 おい。

 それって、間違いなく俺の事だよな?


 少し遠い存在に感じられていたステージ上のヒメが、一気に身近に感じられた。

 とはいえ、話のネタにされるのは……何て言うか、微妙な気分だ。


 ライブが初めてで悪かったな。


「この前何かで読んだんだけど、人間の人生における『最初』と『最後』ってのは記憶に残りやすいらしくて――」


 ヒメにしては、真面目なこと言ってると思った。


 やけに観客達をきょろきょろと見回しているな、と思って眺めていたら。

 気のせいかな。

 ヒメと目があった気がした。

 会場内は薄暗い上に、もの凄い人の数。

 隅に居る俺を見つけられる訳がない。

 それでも、ヒメが得意げな顔をしたから。

 目が合ったのは、きっと思い違いじゃ無いはず。