俺は…ついに言ってしまった。 「莉央!」 いつも心の中で呼んでいた彼女の名前。 つい、口を滑らせて実際に呼んでしまった。 梅雨も近付いてきたある日のプール。 俺が教えている1年生3人共、どうにか泳ぎの形ができてきたから 『全力で25mを10本』 という、かなり無茶な特訓を課している途中のことだった。 やっと全員半分の5本が終わったところで、とりあえず休憩させようと思ったら… 莉央がいない。