野澤の『あの事件』を経て、気付けば水泳部設立から丸2年。 いつも1年に水泳を教えている俺は、2年3年の練習を見る暇がほとんどなくなった。 そんな春と夏の間のある日 「渡先生。僕、好きな人ができたんです。」 1年の練習が終わった後、3年になった一色がタオルで身体の水分を拭きながら俺に話し掛けてきた。