…まだ莉央が水泳部に入部したてで、プールサイドに上がる筋力さえなかった時。 俺は仕方なく莉央の手を引いて、プールサイドに引き上げたことがあった。 富士山に登っている時、高山病の手前でフラフラする莉央を引き上げて岩場を登ったこともあった。 その『手』を、今度は莉央が差し伸べてくれる…というのか…? 「私、もう一人でも泳げるから…。だから、先生のことも助けたいんです。」 「莉央…」