そう思った瞬間、鼓動はさらに高鳴り、元教師のくせに次の言葉も紡げなくなった。 その時、俺が身体の前でがっちりと組んだ指先に、莉央の手のひらが降りてきた。 包み込むような、莉央の温かい手。 「…私でも、先生を引き上げること、できますよね?」 莉央はお茶目な顔をして、ニッコリ笑った。