久しぶりに体育館のステージに上がって、全校生徒の顔を見回した。 これが最後だと思うと、珍しく俺に緊張という感覚が走った。 言いたいことを心の中で繰り返していたら、あっという間に俺の出番が回ってきた。 「只今紹介のありました、数学担当・渡崇史です。」 莉央は…来てるのかな? そう思いながら、全校生徒一人一人の顔を見ていく。 「私は、本日をもちまして一身上の都合で退職をすることになりました。」