「…井上先生。どうもお世話になりました。」




俺は、もう何回言ったか分からなくなったセリフを言った。




「いえ。世話になったのは私の方ですよ。色々愚痴を聞いていただいて、ありがとうございました。…夢に向かう、なんて、カッコいいですね。」







実はここに向かう前、離任する先生は教職員の前で挨拶していた。




俺はその時…




『教師以上の夢を見つけたので、退職させていただきます』




…と言ったのだった。