「あっ、渡先生。すみません、遅くなりまして…」 斉藤は俺の呼ぶ声に気付いて、気まずそうに近付いてきた。 「気にするな。休みだったんだろ?いきなり呼び出して悪かったな。」 「いえ、構いません。ところで、用件…って?」 「おお。ちょっと、出ないか?」 俺は斉藤を誘って職員室の外に出た。 冬の風が痛いほど冷たい。 俺は思わず身震いをして、マフラーを手早く首に巻いた。