莉央の顔が驚きの色に変わる。 俺も初めて見たような、かつてないほどの驚きだった。 そりゃそうだ。 こんなこと、俺が言い出すなんて、思いもよらなかったろうな。 「た、退職…ですか…?」 莉央はただ、その一言だけいうのが、やっとという感じだった。 「ああ。今年度いっぱいでな。だから水泳部の顧問も、もうできない。」 俺のこの一言は、莉央にどう響いているんだろう…? 俺は何となく、そんなことを考えていた。