嬉しそうにプールサイドのベンチから立ち上がろうとした莉央は、俺の声に反応してもう一度ベンチの元の位置に座り直した。 「莉央は、卒業するまで水泳続けていくか?」 きっと今ならば、『YES』と答えてくれそうな気がした。 「はい。毎日楽しいので、このまま続けたいです。」 莉央…。 やっぱりお前はちゃんと成長している。 だから、俺がいなくても、大丈夫だ。 今なら、俺のこの言葉も、受け止めてくれるはずだ。 「俺、退職しようと思ってる。」