「…分かりました。意思が固そうだし、渡先生ならプロのコーチとしてやっていけると信じていますよ。これは受け取ります。」





そう穏やかな声で言って、校長は机の上の俺の書いた辞表を手に取った。





「ありがとうございます。あの、それで周りには…」



「もちろん、黙っておくよ。『一身上の理由』で構わないでしょう?でも年が明けたら引き継ぎもあるだろうし、渡先生のタイミングで周りに伝えて下さい。」






校長の顔は、とても柔らかに見えた。




俺はただただ感謝の気持ちでいっぱいになりながら、校長室を去った。