さっきから莉央が苦しそうなのは、気付いていた。




それなりに声をかけながら莉央の様子をうかがっていたが、その度に莉央は笑みを浮かべていたから、


大丈夫なんだろう…


…って、根拠もなく信じ込んでいた。







『高山病』






俺達の姿を遠くから見つけるやいなや、すぐに他の水泳部メンバーを追い抜かし、俺達の元にやって来た森田の放った一言は、莉央にも響いていたみたいだった。




唖然としたまま、莉央の瞳だけが揺れる。






その時、他のメンバーが続々と山小屋に到着した。




「江藤。莉央、吐きそうだから、ついててくれるか?」