「じゃあ江藤、川崎に追いついて一緒に登ってくれ。」




声に出してみて気付いた。




俺って、意外と冷たい声も出せるんだな…。






もしかしたら、江藤を傷つけたかもしれない。




でも、そんなことを言っている場合ではない。




顧問として、男として、俺は…、莉央を助けないといけない。






それでもしつこく食い下がろうとする江藤を、俺はさっきの冷たい声で追い払った。





やっと納得してくれた江藤は、俺と莉央を追い抜いて、前を一人で歩いているであろう川崎のところへ向かった。