「はあ…」




俺は再び授業の準備を始めながら、何となく井上先生に話を合わせた。




「バレたら、私達もここにはいられませんし…、生徒も退学処分、ですかね?」



「…退学?」




俺は作業しながら、首だけ井上先生の方向に回した。





「昔、桃北にもいたらしいですよー。陰で生徒と付き合ってた先生。これ、古文の北島(きたじま)先生に聞いたんですけどね。その先生は島の高校に異動、生徒は退学処分になったって聞きました。」





古文の北島先生は、定年間近のベテラン教師。




桃北には10年ほどいるみたいだ。




桃北の教師の中では長い方なので、桃北の情報通として知られている。