…3年くらい前。
俺は自分の母親を亡くした。
血は繋がってなかったけど、それでも母さんは俺をずっと育ててくれた…。
母さんは片平さんと結婚して、
2人の間には子どもが出来た…。
『この子が産まれたら、"お父さん"って呼ぼうね…
優斗はこの子のお兄さんなんだから、いつまでも"片平さん"なんて呼んでちゃ駄目よ』
片平さんをいつまでも父さんと呼べない俺に、母さんはそう言った。
俺は兄になるのだと母さんは言った。
ただ純粋に嬉しかった…。
産まれてくるのは弟か妹かわからなかったけど、
…でも、なにかしたくて、
白いリボンを買った。
子どもの頃、母さんが俺に買ってくれたくまのぬいぐるみに、その白いリボンを巻いた。
産まれてくるその子の、初めての友だちにしてあげたくて…。
たぶん、その時がこれまでの人生で一番幸せだったと思う。
そして、その後に起こった出来事は、
これまでの人生で一番の絶望だった……