その日、おっさんはキヨばあちゃんの家を出た。
そして公園に戻って、絵を描き始めた。
まだ全然なにも描けないらしいけど、それでも必死にスランプを克服しようとしている…
おっさんのことが少し解決すると、
俺のユリへの罪悪感も、ほんの少しだけ薄れていった。
部活でも、以前のように普通に話せるようになったと思う…。
「優斗先輩、最近優しいですよねぇー」
と、本人にそう言われるほどだから、本当に以前の俺はユリに対し酷かったのだろう。
そう思うと少し申し訳なくも思った…。
「ちょっと前は、なんかよそよそしかったじゃないですかぁー。
急にどうしたんですかぁ?」
そう訊かれて、俺は苦笑いしか出来なかった。
「あー…、ごめんな…?
えっと…ほら、他の女の子と話すと、彼女に悪いかなぁってさ…」
思わずそんな言い訳が口から飛び出ていた。
すると、ユリは俺の言葉に興味津々そうに声を上げた。
「先輩の彼女って、そういうの気にするタイプなんですか?」
「いや…、俺が勝手に…」
「へぇー…愛してるんですねぇ」