家族ごっこ



晶を抱えたまま居間に入ると、おばあちゃんが台所から顔を出して「優ちゃん、おかえりなさい」と、また声を掛けてくれる。

それにも「ただいま」と返すと、居間で寝転がっていたおっさんが、がばっと勢いよく体を起こした。


「お〜!優斗、遅かったやんけー。あ!さては彼女とシコシコ…」

「それ以上言ったら殴る」

「冗談やて〜。そんな怒らんでもなぁ〜」


冷ややかな視線を送る俺に対し、おっさんはへらへらと上機嫌に笑っている…。


「ねー、しこしこってなーにー?」

と、晶が純粋な目で俺に尋ねる。


晶の言葉に、俺は自分の顔が引きつるのがわかった。

当然ながらそんなこと5歳児に教えられるわけない…。


俺は晶の視線から顔を逸らし、おっさんを睨んだ。

しかし、当のおっさんはへらへらと笑うばかりだった…。


この家に転がり込んでからというもの、おっさんは随分甘やかされているようで、ずいぶん機嫌がいい。

最近はいつもゴロゴロしているし、そのせいか顔に肉が着いてきたようにも感じる…。




そう。ホームレスだったおっさんは、ニートになったのだ。