「南君の妹?」
「え…っと、親戚の子です」
幸ちゃんに尋ねられて、俺は咄嗟にそう答えていた。
親戚なんていないが、本当のことを話して不審がられるよりマシだろう…。
俺と幸ちゃんがそんな風に話しているなか、ユリはパラパラと他のページをめくっていた。
そして、不思議そうな顔で俺にこう尋ねた
「彼女さんの絵は描いてないんですかぁ?」
「…えっ」
尋ねられて、ドキっとした。
確かに、人物画として晶やおばあちゃんの絵は描いたりしているが、神菜の絵は一枚も描いて無い。
彼氏だったら一枚くらい彼女の絵も描いててもいいと思われるだろうが、所詮俺は"恋人ごっこ"の偽彼氏。
神菜を描こうという発想がなかった…。
「ユリ前から思ってたんですけどー、先輩と彼女さんってあんまり恋人っぽくないですよねー」
あははと冗談っぽく無邪気に笑いながらユリはそんなことを言った。
ユリめ、意外と鋭いな…
と、核心を突かれた俺は内心焦っていた。
下手な言い訳をして、"恋人ごっこ"がバレたら不味い…。
どう言って切り抜けようか…。

