その子‥ユリの本名は、

有坂 百合


あの、おっさん‥有坂 豊春の娘だ。



行方不明になっている父親の居場所を知っているのに、それを本人に教えてあげられずにいる俺。


…なんていうか、個人的にかなり気まずい想いを抱えていた。



そのせいで、俺はユリに合わせる顔がなく、彼女のことはずっと避けていた。

部活に行かなくなったのも、無意識に彼女を避けていたせいかもしれない。




「たまには部活来てくださいよぉ~!!」

「明日から、ちゃんと顔出すって…」

「ほんとですかぁ〜!?」

「ほんとほんと」

「嘘付いちゃダメですよ〜?」

「そっ、そんなことしないって…!」


ユリと話していると、自分のなかの罪悪感に押しつぶされそうになる。



「じゃ、そうゆうことで」

「あ〜!優斗先輩〜〜!!」


話が途切れた隙に、俺は逃げるように神菜の手を引いた。