そして放課後。
「優斗~、行こう!」
「あぁ、行くか」
神菜が元気よく声を上げに、俺も笑って答える。
「どこいく?」
「うん、あのさ、
駅前のパティスリーのケーキが超美味しいんだけど…」
「よし。じゃあそこに行くか」
そんな会話をしながら廊下を歩いていると、
突然背後から、
「優斗先輩~!!
帰っちゃうんですかぁ~~!?」
という声が上がった。
俺はその声にギクリとなった。
振り返らなくても、その独特の喋り方から、それが誰かなんてわかる。
それは俺が超個人的な理由で避けていた人物だ…。
「 あー…
……ユリ」
俺はその子を見て、小さく声を掛ける。
するとその子‥ユリは相変わらずの調子で俺に向かって声を上げた
「部活サボっちゃ駄目ですよぉ!!」
ユリは、俺と同じ美術部に所属する後輩。
なにかと俺に絡んでくる女の子だ。
悪い子じゃないけど、俺はこの子のテンションがなんとなく苦手だった。
…それになにより、
俺はこの子にどうしても会いたくない理由があった…。

