家族ごっこ



「そんなことより、なんであないなことになったんや?」


おっさんが本題に戻すように、そう声を上げる。


誰かに橋から突き落とされるなんて、並々ならない事情があるのだろう。

それに晶ちゃんのこともある。


俺とおっさんが朋華さんに尋ねると、彼女は静かに語り出した…


「あたしを突き落としたあの女、ストーカーなの…」

「ストーカー?」

「うん。最近ずっと狙われてるんだよね」



最初は無言電話から始まり、夜中のピンポンダッシュ、その次が玄関前に生ゴミを散らかされ、そのまた次には玄関前に虫の死骸、動物の死骸…

それがどんどんエスカレートし、今回はついに殺されそうになったらしい……。



「怖っ…。警察に相談したりしてないの?」


俺が思わずそう訊ねると、朋華さんは不機嫌そうにこう言った。


「相談しに行ったけど、見回りの回数増やすって言われただけで、なにもしてくれなかった。ほんと役立たずよね…」


晶ちゃんの発言の元はこれか。

と、朋華さんの話を聞いて、変なところで納得してしまった。


「せやけどなぁ、そんな状態で公園にガキ一人きりにするなんてなに考えとるんや!?」

おっさんが朋華さんにそう怒鳴りつける。


すると朋華さんはしゅんと肩をすぼめて俯いた。


「だって、幼稚園は前にあの女が来たことあったから怖くて…だから公園の方が人目もあるし、家に置いとくより安全かなって思って…。


…それに、あの公園には子どもを守る主が住み着いてるから安全だって、ママ友の間で噂になってるし…」

朋華さんはおっさんにそう訳を話した。


もしかしなくても、その公園の主とやらはおっさんだ。


なに都市伝説みたいな存在になってんだよ…。
と、俺は心の中でツッコミを入れた。