結果から言うと、
川はそこそこ浅くて流れも緩やかで、流されて溺れることはなかった。
落とされたその人も普通に無事だった。
俺は落とされ損というかなんというか…。
「いやぁ、無事でよかったわぁ〜」
おっさんが川沿いまで降りて来て、そんな能天気な声を上げる。
今すぐ文句を言いってやりたいところだったが、それより先にすることがある。
「あの、大丈夫ですか…?」
「え?あ、うん…」
手を差し出しながら女の人に声を掛けると、その人はなにがなんだかという表情で返事を返して俺の手を取った。
その人を助け起こして川から上がると、晶ちゃんが泣きながらその人に抱きついた。
「ご迷惑おかけしてすみませんでした」
泣きつく晶ちゃんを抱き締めながら、その人がそう言って頭を下げる。
「いやいや、そんな気にせんでええてー」
と、なにもしていないおっさんが得意気に返す。
「そんなことより、なんでこんなことになったんですか…」
「……」
俺が訊ねると、その人は表情を曇らせたまま口を閉ざした。

