その放課後。

俺はおっさんの家(ダンボール)に行っていた。
なんとなくおっさんのところに顔を出すのが最近の日課となっていた。


ただ、この日はいつもと違った。


ダンボールの部屋の中にはちょこんと座った幼女が居たのだ。




「おっさん、なに考えてんだよ!?

金に困ってついには誘拐か!?見損なったぞ!?」


幼女と仲良くお絵描きしていたおっさんの胸ぐらを掴んで俺は声を上げる。


「誘拐ちゃうわ!ボケェ!!拾ったんや!!」

と、おっさんが怒鳴って、俺の胸ぐらを掴み返す。




「拾った!?拾ったってなんだよ!?

犬猫じゃないんだぞ!!何考えてんだよ!?」


「犬や猫やないから拾ったんやろがぁっ!!」



怒鳴り合う俺とおっさん。

そんな俺たちに、その幼女は声を上げた。


「けんかしないで!!」


その声に、俺はおっさんは互いに掴んでいた手を離した。


俺はしゃがみこんでその子に目線を合わせて話し掛けた。



「ごめんね。

…えっと、お嬢ちゃん名前は?」


「あきら!」


俺が訊ねると、その子はそう言って手元の紙に、"晶"と書いた。


「晶ちゃんね…。

俺は、優斗。あのおじさんは変態だから近づいちゃ駄目だよ?」