…そんな感じで、俺と神菜との"恋人ごっこ"は進んでいった。
ただ、その頃から、神菜の様子が変化しているのを感じるようになった…。
なんとなく、以前と比べて雰囲気が楽しげな感じがする。
嬉しそうな、幸せそうな、そんな顔をするようになっていた。
幸せそうなのはいいことなんだろうけど、ずっと一緒に居るのにその原因はさっぱりなので不思議でたまらない…。
で、思い切って本人に言ってみた。
「楽しそうだな」
「え!?なにが??」
俺が言うと、神菜は自覚がなさそうにそう言い返した。
「なんか、最近の神菜 幸せそうだよな。
良いことあった??」
「ん~、ちょっとね~」
と、訊ねる俺に対し、神菜は意味ありげに笑って答える。
その理由がまったく検討もつかない。
きっと俺の頭の上にはクエスチョンマークが3つほど並んでいるだろう…。
なにかあったんだろうな…
と、幸せそうに笑っている神菜を見ながらそんなことを思っていると、あるものに目が止まった。
「あ!神菜」
「ん? なに?」
「キスマーク消えてる」
「え!? うそっ」
神菜の首筋に以前付けたキスマークが消えていた。
あれだけ消極的につけたものだから消えるのも早いのだろう…。