その日の夕方のこと…

俺は昼間サボった分のデッサン練習をするために公園で絵を描いていた。

ただひたすら見える景色をスケッチブックの上に落としていると、




「…上手いもんやのぅ、兄ちゃん」


「!?」


突然ホームレスらしきおっさんが、俺のスケッチブックを覗き込こんで感心したように声を上げた。


驚く俺に対し、そのおっさんは飄々とした態度で言葉を続けた…




「…せやけどなぁ、

この色の使い方は感心せんわぁ〜」


「…え?」


「…もっと思い切って色付けしやな、全体的に地味っちゅーか、つまらん絵になってまうで」


そう言っておっさんは俺から鉛筆を奪い、俺の絵の上から勝手に描き加え出した。