「マジで悪かった…」
屋上に入ると、俺はそう言ってもう一度頭を下げた。
「うん。別にそんなに怒ってないから大丈夫…」
さっきまで泣いていた神菜はそう言ってくれて、少し安心する。
思わず笑み零すと、神菜もにこりと笑ってくれた…。
するとちょうどHRを告げるチャイムが響いた…
「あ、HR始まるな…」
思わず声を漏らすと、神菜は「そうだね」と小さく返事をした。
そして、
「私、HRサボるよ」
と、そう言って屋上に座り込んだ。
そんな神菜を見て俺もつられて口を開いた。
「なら、俺もサボるよ」
言いながら俺も腰を下ろす。
恋人ごっこだからと言って四六時中一緒にいないといけないわけじゃない。俺一人だけ教室に戻ってもよかった。
だけど、神菜を一人にはしておけなかった。
…それは、彼女の友人と約束したからだけではなくて、俺がそう思ったからだ。
といっても、泣かせた俺がそんなこと思う資格があるのかわからないけれど…。
神菜はいつも地に足がついていないような、気が付いたらどこかに消えてしまいそうな子だった。

