「事情はようわからんけどなぁ…、恥もかかんで生きてける人間なんておらへんやろ」
落ち込み続ける俺の前におっさんは座り込み、ゆっくりとそう話出した。
「お前の超尊敬するわしかてな、人生失敗だらけやで」
「……超尊敬なんてしてねーよ」
おっさんの言葉に鼻で笑ってそう言ってやると、おっさんは体をふるふると震わせて突然俺に掴み掛かってきた。
「…ちょ、なにすんだよ」
「このクソガキがぁっ!!
人がせっかく優しくしたろ思うたのにその態度はなんやねんっ!!」
と、怒鳴り声を上げ、掴み掛かってきた手で首を絞められた。
おっさんがこうしてキレるのはいつものことだ。
いつもならここで俺が謝るかなにかしておっさんの機嫌を取るのだが…、今回ばかりは俺も虫の居所が悪かった。
気が付けば取っ組み合いの喧嘩が始まっていた。
互いに加減無しで暴れたせいで、
…結果、おっさんの新居は崩壊した。
「ちょ、おまっ、なんてことすんねん」
「すみませんでした…」
さすがにやりすぎた気がする。

