さらに恥ずかしいのはこの後の出来事だ…
「送ってくれてありがとね」
「あぁ、じゃあな」
彼女の家の前で、そんな恋人らしいやりとり。
とはいえ、"恋人ごっこ"なのだからここで普通に帰るべきだったのだ。
しかし俺は彼女にキスしていた…
なんでそんなことをしたのか自分にもわからない。
気が付けば彼女にキスしていて、正気に戻った俺は慌てて口を離した。
神菜の様子を見れば当然のことながら呆然としている。
そんな彼女に向って俺はなんとか誤魔化そうとし、笑ってこう口にした
「手出さなかったんだから、これくらい勘弁な」
…俺はアホか。
いやアホだ。
なにが勘弁だ、馬鹿。
俺は心の中であの時の自分にありとあらゆる罵声を浴びせた。
しかし当然のごとくあの時の自分にはダメージを与えることは出来ない。
今の自分が激しい自己嫌悪に陥るだけだった。

