…その後の出来事は、思い出すのも恥ずかしい。
あの後俺は神菜を家まで送っていった。
そして別れ際、なにを思ったのか俺は彼女に
…キスしてしまったのだ。
「消えたい」
「なにお通夜みたいな顔しとんねん」
恥ずかしさで死ねると思った。
穴があったら入りたいとはまさにこんな気持ちだろう。
穴はないので、公園の隅にあるおっさんの新居(ダンボール)に閉じこもることにした。
「ただでさえ狭いのに、そんな陰気な顔した奴が居られたら息苦しゅうてかなわんわ。さっさと出てけや」
そんなおっさんの言葉も聞き流して俺はダンボールの部屋の隅で膝を抱える。
頭の中には、先程の神菜との出来事が浮かんでいた…
家まで彼女を送る途中、隣を歩く神菜は笑ってこんなことを言い出した
「みんなに、どうだった?って聞かれたら、
優斗は上手かったって言っとくよ。」
「じゃあ、俺は…、
神菜は乳デカかったって言っとく… 」
俺はそう返し、神菜はその言葉に笑っていた。
…思い返せばこの時点で俺は既におかしかった。
乳デカイってなんだよ。まるでおっさんじゃねーか。つーか、明らかにおっさんの影響だろ。最悪だ。
よくもまぁこんな恥ずかしいことを口に出来たもんだが、その時の俺はそんなこと気にすることもなく口にしていたのだ。
思い出すだけで恥ずかしい。