そうして俺は平凡な日常を取り戻した。
…いや、神菜との恋人ごっこのせいで平凡とは少し言い難いかもしれない。
今日は神菜との約束の土曜日。
セックスしたことにする日だ。
最初はあのAVを見せておけばいいかと思った俺だが、女の子にそんなもの見せるのもなんだか変態くさい気がした。
というわけで、それっぽいシチュエーションのある映画も借りてきた。
今日はこの2本を見せて適当な理由つけて納得してもらおう…
そんないい加減なことを俺は考えるのだった……。
「おじゃまします……」
「どーぞ。いらっしゃい」
時間通りにうちにやって来た神菜を迎え、部屋の中に入れる。
「 なに飲む?」
俺は冷蔵庫を開けながら神菜にそう訊ねた。
…と言っても、出すものはもう決まっているのだけど…
そんな俺の気などお構いなしに神菜は変な注文を付けてきた。
「…プロテイン」
「そんなもんウチにはない」
…なんでプロテイン?
彼女の考えることは相変わらずよくわからない。