翌日、学校から帰ると冷蔵庫が空になっていた。

おっさんの仕業だということはだいたい想像がつく。




食品だけならまだしも、調味料の類いまで全て持っていかれてしまったのだ


これは俺への当てつけなのだろうか…

地味な嫌がらせにも程があるだろう。




仕方ないので、近所のスーパーに買い出しに出掛けることにした。


とりあえず必要なものと、夕食の材料。

それから、土曜日に来る神菜に出せる飲み物類…


神菜が好きだと言っていたミルクティーの缶をカゴに入れてレジに向かう。





会計をすませて、荷詰めする台まで行くと…、


何故かおっさんがそこに居た。




夕飯の買い物に来た奥様方から、まるで変質者を見るような視線を注がれつつ、スーパーのダンボールをかき集めているおっさんの姿は、


やはりどう見ても変質者だった。





「おう!優斗!!

どないしたん?こんなとこで」


他人のフリをして通り過ぎようとしたが、おっさん改め変質者にあっさり捕まった。

奥様方の変質者を見るような視線が、自分にも注がれる…。



「どうしたじゃない。おっさんが俺のとこの食料盗んだせいだろ」


「あぁ!そんなこともあったな〜。すまんすまん」


「…………」



おっさんの態度から、まったく悪いと思っていないということが見て取れた。

その証拠に、おっさんはさも当たり前な様子で俺のカゴから食べ物をくすねているのだ…。