「優斗、ええもん見せたるわ」
おっさんは唐突にそう言って懐を探り、あるものを取り出して俺に見せた。
おっさんが俺に見せたそれは、少し古い写真だった。
どーんと太った男と、女の人が写っている。
「それな、昔のわしやねん。
そんでもって、未来のお前の姿やな」
「…っ!?」
おっさんは写真に写る太った男を指差しながらそんなことを言った。
その言葉が信じられず、俺は唖然となった。
「わしって天才やから、結構早く売れ出したやろ?
せやから嫁さんの手料理腹一杯食うて絵だけ描いて暮らしとったら、いつのまにかこんなになってしもうてなぁ〜
まぁ、今の生活になってからは、痩せて男前になったけどな!」
「うっ、嘘だろ…?」
「ほんまやで。
画集に載っけとった写真は、一番男前やった時期のもんやしなぁ」
おっさんの言葉に、俺のなかの有坂豊治の姿がどんどん劣化していくのを感じた…。
「お前もわしと同じ天才型やから、将来的にこうなっていくやろなぁ〜」
「……ちょっと走ってくる」
俺はすぐに外に飛び出して走った。
おっさんのようになるなんて真っ平御免だ……

