「…………」


「…………っ」



「…ゆっ、優斗?

泣いとんのか…っ!?」


「…うっ、うるさいっ!!

泣いてねーよっ!!!!」



泣いてないと強がったが、俺は泣いていた。


憧れだった有坂 豊春が、

こんな駄目駄目なおっさんだったことがショックで、情けなくて、とにかく涙が出た。



「泣かんでもええやんかっ!

お前、わしのファンなんやろ!?
これからも、わし直々に絵の指導したるさかい…

な?光栄やろ?」


「うるさいっ!!


あんたはただのおっさんだ!!

絵の指導もしなくていい!!」



俺は、有坂 豊春はもう死んだと思うことにした。


俺の憧れが、こんなおっさんであってたまるか……