「お前んちの床、固いんやけど」
「床なんだから固いのは当たり前だろ」
「固過ぎて、全身痛うて敵わんわぁ〜
それもこれも、わしを床で寝かせたお前のせいやでぇ」
「人を悪者みたいに言うな」
おっさんを自分の部屋に泊めた翌朝。
俺はおっさんに嫌見たらしく責められた。
その理由は、俺がおっさんを床で寝かせたためだ。
「…だいたい、外で寝るのは寒いから一晩置いてくれって泣きついてきたのはおっさんの方だろ」
「せやかて、ソファあるんやでそっちで寝かせてくれもええやん」
「ソファ使うなら、風呂に入れって言ったのを嫌がったのはおっさんの方だろ」
「……お風呂嫌い」
「子どもか」
…この後も不毛な言い合いが続き、最終的には何故か俺がおっさんのために絨毯を買ってやるということになっていた。
良いように言いくるめられたのだ。
「絨毯買うから、とりあえずおっさんは風呂は入れよ。なんか臭う…」
「臭うってなんやねん!?」
「うるさい!
臭うものは臭うんだよ、さっさと風呂入れ!!」
俺が怒ると、おっさんはしぶしぶという様子で風呂場に向かった…
「覗いたらあかんで?」
「誰が覗くかっ!!」
自分は静かな性格な方だと思っていたが、
おっさんと居ると、こうしてつい大声を上げていたりする。
…このおっさんと居ると、どうも調子が狂うのだ。
本当にこのおっさんは何者なんだ…?
…そんな俺の疑問は、この数分後に解き明かされることとなる……