月1ぐらいの間隔で、こうして届くメール。
俺は呼ばれるままに義父から指定される店に向かう…。
「元気にしてた?」
「うん。元気だよ。…片平さんは?」
「元気だよ」
「そっか…」
食事中の俺と義父との会話は、どこかよそよそしい。
俺が彼を"片平さん"と名字で呼ぶのは、死んだ母が彼を名字で呼んでいたためだ。
『この子が産まれたら、"お父さん"って呼ぼうね』
片平さんとの子どもができた母さんと、そんな約束をした。
お腹の中の赤ん坊が産まれてきたら、ちゃんと家族になろうと母さんは言った。
…けれど、
母さんは赤ん坊と一緒に死んでしまった……。
そうして俺はいつまで経っても、彼を"父さん"と呼ぶことが出来ないでいる。