例の食中毒事件により、翌日は一日休校となった。

結局被害にあったのは生物の野田先生だけで、それ以外の被害は出ることはなく、野田先生の腹痛は原因不明のまま先生は入院してしまった。


そんなこんなで、約1週間後。

入院中の野田先生の代わって新しい生物教師がやってきた。




「 ……と、言うわけで、入院した野田先生の代わりに、この学校で新しく生物の授業を受け持つことになった中村 春です。皆さん よろしくお願いします。」

背の高い若い男の先生で、朝の集会の時にそう挨拶した時には所々から女生徒の黄色い悲鳴が上がっている。



「なー、優斗!あの先生かっこよくね?」

と、北野がそう俺に話し掛ける。


「なに?北野のタイプなの?」

「ばか♡ 俺は優斗一筋だって♡」

「はいはい」


抱きつく北野を適当にあしらう。

ちなみにこのやりとりは最近北野がはまっているホモコントだ。……たぶん、彼女と別れたばかりの俺を奴なりに笑わそうとしているんだと思う。たぶん。




すると、


「 ねぇ神菜ぁ!!  あの先生 超格好良くない!? 」


先程の北野と同じような台詞が聞こえてきた。神菜という名前が聞こえてきてどきりとする。

どうやら声の主は、神菜の友人の藤崎さんのようだ。


彼女達の会話は、同じような会話をしている他の女子の声により掻き消さてしまいそれ以上は聞こえなかった。


神菜も、あの先生をかっこいいと思うのだろうか。

女々しくも少しだけ気にしてしまった。