「 いるよ……好きな人」



教室を出て屋上まで行き、

話をした時、神菜が言った。


好きな人が居ると……。



結局あの後輩とはなにもなかったらしいのだけれど、

最近の神菜は本当にどんどん可愛くなっていて、好きな奴でもできたのかって考えていたから、思い切って聞いてみた。



好きな奴できたのかって



自分から聞いてしまったことなのに、言い出してすぐに俺は激しい後悔に襲われた。

だって、



"恋人ごっこ"のルール

相手に好きな人が出来た場合は、速やかに別れること




神菜の答えは、いる。



だから、つまりそういうことで。

この"恋人ごっこ"も終わってしまったということで。







「……そっか、やっぱりな。

じゃあ、今までありがとな」


言いたかったのは、

こんな言葉じゃなかったはずだ。